性病
VD : venereal disease


性病とは性病予防法(現在は性病予防法はありません)によって指定された梅毒,淋疾,軟性下疳および鼠径リンパ肉芽腫症を指す。
性病予防法とは性病が国民の健康な心身を侵し、子孫にまで害を及ぼすことを防止するために、その治療および予防を図ることを目的とした法律で、性病予防法により、医師は性病患者を診断した場合、患者の氏名,住所,性病を伝されたあるいは、伝した可能性のある相手などについて質問し、1カ月以内に管轄保健所長を経て都道府県知事に届出なければならない。


梅毒
syphilis

病原体 Treponema pallidum (梅毒トレポネーマ)
感染経路 性交
症状 1期(感染後3週)

感染部位に初期硬結(しこり),無痛性の局所リンパ節の腫大

2期(感染後3カ月)

バラ疹と呼ばれる多発する小型の紅斑,多発性のリンパ節腫大

3期(感染後3年)

皮膚・粘膜・内臓にゴム腫と呼ばれるゴム様の弾性ある肉芽性病変

4期(感染後10年)

中枢神経障害

解説 梅毒の病原体は一般的には梅毒スピロヘータと呼ばれるが、正式には梅毒トレポネーマである。性交によって感染する梅毒を後天梅毒と呼ぶ。また、後天性梅毒のほか、母子感染による先天性梅毒および医療従事者の患者からの感染や輸血感染など性交為以外による無辜梅毒がある。
関連事項 先天性梅毒 congenital syphilis

胎児が母体の子宮内において胎盤感染により梅毒に感染する場合をさし、多くは子宮内で死亡して流産するか胎生7〜9カ月で早産する。
内臓諸器の病変が顕著で、骨軟骨炎,皮膚の水疱,瘢痕,萎縮,鼻炎,鞍鼻,難聴,知能障害などが現れる。

淋病
gonorrhea

別名:尿道淋 VDG:venereal disease gonorrhoea

病原体 Neiseria gonorrhoeae (淋菌)
感染経路 性交
症状 尿道や性器の化膿,尿への膿の混入
解説 2〜7日の潜伏期の後、化膿性炎として発症する。男性では尿道炎に始まり前立腺,精嚢,精巣上体へと進展するが、女性では尿道,腟,子宮頸管へと波及し、急性化膿性炎をおこす。
菌血症,関節炎,および心内膜炎などの重篤な合併症を起こすことがある。
また、近年性行為の多様化により、淋菌性咽頭炎や直腸炎が見られるようになった。

軟性下疳(なんせいげかん)
soft chancre

別名:陰部下疳 chancroid, genital chancre

病原体 Haemophilus ducreyi(Ducrey桿菌)
感染経路 性交
症状 感染後2〜3日して外陰部に紅色の小丘疹、ついで膿疱(うみ),潰瘍(かいよう)をつくる。
2〜3週後に鼠径リンパ腺(太股付け根のリンパ腺)が腫脹し、疼痛が著しく,発熱し,化膿自潰して排膿する。
解説 潰瘍は隆起せず、触るとしこりのようだが、周辺部を触ると軟弱である。
鼠径リンパ腺の腫脹は左側に著明で、圧痛があり、数個集簇して侵され癒着して大きな団塊となる。疼痛が著しく,発熱し,化膿自潰して膿を出す。

 

鼠径リンパ肉芽腫
lymphogranuloma inguinale

別名:性病性リンパ肉芽腫症,第四性病

病原体 chlamydia trachomatis (クラミジア)
感染経路 性交
症状 感染後1〜2週

病原体の侵入箇所に小丘疹,小水疱を生じる。(*1)

発疹の発生1週間後

鼠径リンパ腺(太股付け根のリンパ腺)の腫脹が起こり、触ると硬い。腺腫は数を増し,互いに融合しては皮膚とも癒着し,大きな固塊となるが,やがて個々の腺腫は自潰して瘻孔(*2)をつくる。
39°Cに達する発熱,頭痛,関節痛が主症状で、女性では外陰部から直腸,尿道に及ぶ浮腫性腫脹と象皮様肥厚を呈することがある。

補足 (*1)感染後1〜2週で現れる発疹は症状が軽く見逃されることが多い。
(*2)深部組織あるいは臓器と外部との間の病的な管状の連絡。


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